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マリンブルーのお部屋

マリンブルーのお部屋

父が亡くなったとき

平成8年5月6日、父が亡くなった。

その日はちょうど、ミュージカルを友達と見に行く事になっていたのだ。
貰った招待券があったから・・・
5月2日までバリバリ働いていた父は、大型連休に入り
少しノンビリしすぎて、体調を崩していたようだ。
それでも「明日(7日)は現場見が有るんだよ、頑張らなきゃな」と話していた。

その日の午前中、近所の人達とお茶飲みをしていたが何となく元気がない。
自分で病院へ行くと言い出した。
こんな事は初めてなので、ビックリして母の運転で病院へ向かった。

すぐに帰ってくると思い、待っていたが中々帰ってこない。
出かける時間は迫ってくるし、気になって病院へ行ってみた。
何のことはない、待合室で他の患者さんたちと談笑してる。
しかも元気そうだ。
「ねえ、お父さん具合が悪かったらミュージカル行くのやめるよ」
「なに言ってるんだ、お父さんは大丈夫だよ。
 せっかくチケットがあるんだから行って来いよ」
「うん、分かった、じゃあ終わったらすぐ帰って来るからね」
そう言って、友達と出かけてしまった。
まさか、最後の別れになるとは夢にも思わず・・・


ミュージカルを見てると、一緒に行った友達に呼び出し放送があった。
「何だろう、ちょっと聞いてくるね」と友達は慌てた様子で受付へ、
心配しながら待ってると、ご主人からの電話で
私の父が救急車で運ばれるのを見たと!
すぐ連絡をとろうと、会場を調べてくれたらしい。

え!まさか・・・

とりあえず急いで帰らなきゃ。
そのまま車を拾って急いで家路へ。
家に近づくにつれて胸騒ぎが・・・

「でもきっと、病院で元気になってるよ、しばらくは入院かなぁ?
 明日の現場見はどうしようか? 今月の請求書は・・・」


家の前で車を降りると、何か変だ。
近所の人たちが、頻繁に出入りしてる。
急いで走って行くと、「お父さんが亡くなったよ」と声をかけられた!

え! うそ!
だって元気だったもん、ミュージカルへ行って来いって!
俺は大丈夫だって!
そんなのないよ~
今まで元気だったのに・・・
しかも、まだ66歳だよ!

それからの私は、雲の上を歩いているようだった。
泣いてばかりもいられない。
親戚にも知らせなきゃ!
会社にも行かなきゃ!
死亡通知も組合に送らなきゃ!

こんなにつらい事が、世の中にあるのか・・・
まるで、夢遊病者のように過ごした数日・・・

去年七回忌を済ませ、いくらか落ち着いてきた。
「お父さん、会社は心配しないでね、旦那と息子がしっかりあとを継いでるよ!
私も経理はガッチリ握ってるから、いつまでもみんなを見守っていてね!
大好きだったお父さん!!」

父の事だ、あの世でもせっせと営業してくれてるらしい。
この不景気に仕事が途切れずにあるのは、きっと父のおかげだ!

感謝だよ、お・と・う・さ・ん!






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